チューブレスタイヤ辞めました

私は、ロードバイクのチューブレスタイヤを辞めました。これまでの利用タイヤの軌跡は、
チューブラ > クリンチャ > チューブレス > チューブラ 
最近のネットを見てもチューブレスタイヤを辞めた人がチラホラいます。この記事では私がチューブレスタイヤを辞めた理由を記載します。この記事の中ではチューブレスレディはチューブレスを包含しています

理由

チューブレスタイヤの特徴は良くも悪くも下記3つに纏められます

  1. 空気圧を下げられる事で爽快に走れる
  2. リム打ちパンクしない
  3. 出先ではパンク修理が出来ない

1については、「転がり抵抗」と説明しているメーカーもありますが、自動車業界における転がり抵抗の定義とは異なるため、ここでは「空気圧が下げられる」と表記します。2のリム打ちパンクとはクリンチャータイヤでよく発生現象で、衝撃によりリムとタイヤに挟まれたチューブに穴があく現象です。チューブレスにはチューブがないの発生し難いパンクですが、強い衝撃を受けた時は外皮のタイヤに穴があいてパンクします。また、1は2の相乗効果で「リム打ちパンクしないから空気圧を下げられる」とも言えます。3の「パンク修理が出来ない」は、私がチューブレスタイヤを辞めた理由です。私に3は余りにも大きい影響でした

空気圧

TUFOと言われる東欧チェコのタイヤメーカがあります。このメーカが販売しているチューブラークリンチャータイヤは他に例を見ない特殊な構造をしています。チューブラ構造のタイヤをクリンチャーホイールに取り付けられる様に出っ張りを付けています。

このタイヤもパンクし難いタイヤです。私の経験ですが10年間で一回もしていません。このメーカーのC HI-COMPOSITE CARBONタイヤを使って一般道を6BAR、8BAR、10BARで走ってみると、低い空気圧の方が気持ちよく走れます。

一般道を走る時、全てのタイヤは空気圧を下げると乗り味は良くなります。道路には小さな段差がありロードバイクを下から突き上げています。一昔まえは8BARから10BARの空気圧を設定していました。この空気圧は車やオートバイと比べても異常に高く下からの突き上げを吸収することができません。ハンドルやサドル、ペダルも突き上げ、時には跳ねます。この空気圧を6BARにさげるとタイヤがサスペンションの働きをして突き上げを吸収してくれます。結果、乗り味が良くなりエネルギーの損失も少なくなります。しかし空気圧を下げると、タイヤが潰れやすくなるためリム打ちパンクの発生率は上がります。その為クリンチャータイヤでは8BAR程度の空気圧で設定することが一般とされていました。

乗り味が良い(空気圧を下げた)タイヤはクリンチャやチューブラでも作れます。それは26cや28cなどの太いタイヤを選択することです。太いタイヤを使うことで空気圧を下げた設定が可能になります。細いタイヤと太いタイヤを同じ空気圧で設定した場合、車重が同じなら接地面積も同じになります。接地面積 = 潰れた面積 です。太いタイヤは横にも潰れるため縦に潰れる長さが短くなります。潰れる長さが短くなるとリムと外皮の距離が遠くなりリム打ちパンクが回避できるようになります。この様に太いタイヤは低い空気圧でリム打ちパンク発生率が低いタイヤを作ることが出来ます。また低圧になれば下からの突き上げも解消されます。つまりチューブレスでなくとも太いタイヤを履けば低空気圧で爽快に走れる様になります。ただし太いタイヤは重くなるため、過度に太くすることはお勧めできません

利用環境から考える

  • 空気圧は出来るだけ低く
  • リム打ちパンクは無くしたい
  • タイヤを太くすればリム打ちパンクは回避できる
  • タイヤを太くし過ぎると重くなる

上記は一般道に求められる項目です。結局は空気圧と重さのバランスです。この条件の中で一番良い性能を出せるタイヤの種類はチューブレスタイヤになります。パンク耐性を高める為タイヤの太さも26cや28cが選択される様になっていますが、軽さを追及するフックレスホイールを利用すればその性能は最強となります

環境が変わればタイヤの種類も変わります。トラックレースの様な凹凸の無い路面であれば、下からの突き上げを吸収する必要もなく、タイヤを潰してグリップ力を高める必要もありません。また、潰れによるエネルギー損失を抑えるため高い空気圧が必要になります。この様な環境では19㎜で12BAR以上のチューブラータイヤが選択されています

シクロクロスで必要になるのはグリップ力です。高いクリップ力を生み出すためには、太いタイヤ、適切なブロックパターン、低い空気圧です。また、タイヤが均等に潰れることも重要な要素です。この様な環境で選択されるタイヤは、32㎜のブロックパターンで空気圧は2BAR以下に設定されたチューブラータイヤです。近年ではチューブレスタイヤの利用も増えてきましたが均等に潰れる構造にはチューブラータイヤに分がありトッププレーヤの多くはチューブラータイヤを利用しています

上記の様に、適切なタイヤは利用環境によって異なります。一般道ではチューブレスタイヤが最適となりますが、しかしパンクが発生してしまうとその評価は一転し最下位まで転落します

チューブレスのパンク

出先でのチューブレスタイヤのパンク修理は無理です。出来ません。パンクの記事でも書きましたがチューブレスタイヤがパンクした際の注意点を纏めます

  1. ビードあげには特別な工具が必要です。この工具は携帯出来ないため出先では使えません。つまり外部でチューブレスタイヤへの交換は出来ません
  2. チューブレスタイヤのパンク修理キットは、釘などの穴用です。それ以外には対応出来ません。
  3. 応急処置としてチューブを入れる方法があります。この作業は一般ユーザには難しい作業です。少なくともシーランドを洗い流すためにタイヤとホイールを丸洗出来る環境が必要です
  4. フックレスホイールにクリンチャータイヤは装着出来ません。頑張ってチューブを入れるしかありません

確かにチューブレスはパンクが少ないタイヤです。でもパンクします。プロツアーでもパンクしています。プロはサポート環境が充実しています。ホイールごと入れ替えて終わりです。ホビーライダーには何もありません。最悪、諦めてタクシーを呼んで輪行して帰る事になります

因みに、応急処置用のチューブを入れた場合、リム打ちパンクのリスクが非常に高くなります。それは、チューブレスホイールの適正空気圧は6BAR以下だからです。高い空気圧をいれればホイールが壊れます。低い空気圧は当然、リム打ちパンクします。つまりチューブを入れることは一時凌ぎです。通常運転の状態にはもどりません。どこかで新たなチューブレスタイヤをはめる必要があります

また、クリンチャーとチューブレス両方対応のホイールを選べば、パンク時にタイヤをクリンチャーに変えることで高い空気圧を設定することが出来、修理完了後も普通に走ることが出来ます。しかし、それなら最初からクリンチャタイヤにしておけば良い事になり本末転倒です。

結局、一番の問題は「ビード上げが外では出来ない」ことです。これは元に戻せないことを指しています。恐らく、この考えまで行きついた人はチューブレスタイヤを辞めていると思います

長距離ライドには向かないタイヤ

私は飛行機輪行を兼ねた数日間のライドを趣味としています。途中での障害に備え携帯ツールや装備を工夫しています。チューブレスタイヤは一番最初に除外したパーツです。乗り味の良さと軽さを捨ててもこのタイヤを選ぶ事は出来ませんでした

数日間の長距離ライドにチューブレスタイヤは適しません。無理です。必死で仕事を調整しやっと取れた休暇。空港までの道程でパンクしてDNS(Did Not Start)となったら泣くに泣けません

そして終焉?

チューブレスタイヤを自分で交換している人はどのくらいいるのだろう?

取り付ける前に、リムを綺麗に洗ったり石鹸水を用意したり色々儀式がある。クリンチャよりも固いタイヤで嵌めるには技術も力も必要。ホイールメーカとタイヤメーカの相性もある。ビードを上げるには専用の空気入れも必要。さらに、このビード簡単には上がらない。手動ポンプではやってられない。コンプレッサーが欲しくなる。旨く出来たと思っても一晩置いたら空気漏れ、なんてことも起きる

そう考えると初心者はプロショップに依頼しているはず。中級者や上級者であっても工具費用や時間と精度を考えたら、プロショップに依頼するだろう。DIY率は30%以下かもしれない。

ネット通販が主流のロードバイク業界。プロショップが閉店して行く。しかしタイヤ交換だけはプロショップにお願いする。近くにプロショップがなければ続けられない趣味?

ロードバイクにはメンテナンス作業を趣味とする人も沢山居る。しかしDIY出来ないタイヤ交換。初期装備をチューブレスから始めた人でクリンチャーへ移行できる人は少ないだろう。ホイールの交換にはお金がかかる。せめて完成車にクリンチャーホイールを用意して欲しい。そうでもしないと、いずれライダから見限られる日が来ると思う

結論、チューブレスタイヤやフレックスホイールはレースに特化した存在で良いと思う。一般人が手を出して良いものでは無い

そしてチューブラーへ

因みに私は、最近販売されているTUFOのHI-COMPOSITE CARBON 28㎜チューブラータイヤが5BARで走れることを知りチューブラに戻っています。このタイヤ良いです。20年前に販売して欲しかった。パンクは無いし爽快に走れる。ホイールも軽い。いい事尽くめです! ただし、これまで利用していたチューブレスホイールは使わなくなりました。新たにチューブラーホイールの購入です。この時代にチューブラーです。先見の目がありませんでした。このタイヤがいつまでも販売されることを祈ります